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パチンコパチスロの雑学 「ゴト」について その5

犯罪者

パチンコ店時代の思い出とか、パチンコパチスロの雑学とかのシリーズは、毎回結構な文字数でして、書くのにそれなりに気力が必要です。
という説明的セリフをもって、しばらく書かなかった言い訳とさせて頂きます。

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元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、パチンコやパチスロに関する「へぇー」と言えるような言えないような、明日から役に立つような立たないような、人に自慢できるようなできないような、そんな素敵なトリビアをご提供するコーナーです。

 

しばらくの間のテーマは「ゴト」です。

このシリーズの初回にご説明しましたが、「ゴト」とはパチンコやパチスロで不正な手段で出玉(メダル)を獲得する行為のことを言います。(「ゴト行為」という言い方もします。)
また、ゴトをする人たちのことを「ゴト師」と言います。

 

今回からは、

「バックにそれなりの組織があることが想像できるタイプ」

のゴトの手口について説明しようと思います。

 

■「不正基板」「不正ROM」「ぶら下がり」ゴト

パチンコ台やパチスロ台の裏側、内部と言ったほうがいいでしょうか、とにかく、遊技客から見えない部分というのは、

パチンコ台の裏側

こんな風になっていまして、基板とか配線とかがむき出し(一応プラスチックのケースに入っていますが)の状態です。
これらの基板では、大当りの抽選やパチンコ台の部品の動作の指示をしています。

という説明をした上で。

「不正基板」というのは、遊技台の抽選をしている「メイン基板」「サブ基板」と呼ばれる部品の「偽物」のことです。
これらの「偽物」を製造して、パチンコ店の知らないところで「正規の部品」を「偽物」と交換してしまう、というものです。

メイン基板などが偽物に交換されてしまうと、「不正行為者がある特定の操作をする」ことで、すぐ大当りし、しかもたくさん出玉が出る様になり、逆に、一般客が打っても全然大当りしないという、お店にとって最悪の台に変わってしまいます。

また、「不正ROM」というのは、主要な基板の中のROM

ROM

(こういうのですね)だけを交換してしまう、というものです。
「裏ROM」なんて言う呼び方もあります。
効果は不正基板と同じです。

更に、「ぶら下がり」というのは、

ぶら下げ

写真のようなもので、パチンコ・パチスロ台の特定の回路に差し込むことで、不正基板と同様の効果を得ることができます。

 

総じてこれらのゴトは、

「こういう工業的な製品を製造することができるような、一定規模の技術力と生産設備が必要」

ということが考えられます。

よって、それなりの規模の組織力が必要だということになるわけです。

 

もう一点、これらのゴトに共通する点があります。
この共通点は、このゴトの「最大の課題」となるわけですが、それは、

「製造したこれらの不正部品を、いつ、どのような方法でパチンコ・パチスロ台に取り付けるか」

(もちろん、パチンコ店にバレずに、です。)

というものです。

 

そもそも、「組織的にこのような不正を行う集団が関与している」というだけでも怖いのですが、これから例示する「何とかして台に部品を取り付けてやろう」という手法は、「そこまでするか?!」という得も言われぬ恐怖を感じます。

方法①
営業中に普通に台を開けて部品を取り付ける。

初めの頃はこういう方法でした。
通常、パチンコ・パチスロ台は施錠されていて、お店のスタッフが持っている鍵を使わないと開きませんが、同じものを入手し、持ち込んで開けます。
初めの頃は、従業員に見つかるリスクを負って、こういうことをやっていたんですね。

方法②
夜中に忍び込んで部品を取り付ける。

営業中は、従業員や他のお客さんの目があるのでやりにくいことに気が付いた(やる前に気づけって話ですが)ゴト師は、閉店後、従業員が帰ってから仕込むことを考えます。
SECOMさんやALSOKさんの機械的な警備システムを何とかかいくぐってお店に侵入するんですね。

方法③
日中に天井裏に隠れ、夜中に出てきて部品を取り付ける(そして朝まで天井裏に隠れる)。

夜中に外部から侵入するのが難しいと気が付いたゴト師は、営業中にお店の中に潜む方法を思いつきます。
潜む場所として最も代表的なものは「天井点検口」です。
点検口エアコンなどのメンテナンスのために、天井裏に入るための入口を設けることがありますが、ここに隠れるんですね。
で、夜中にここから出てきて部品を取り付ける、その後もう一度ここへ隠れて朝まで待つ、ということです。

方法④
外壁を切って侵入し、部品を取り付ける。

この時期になると、パチンコ店も部品を取り付けられまいといろいろな対策を講じるようになっていましたので、過去の手口がなかなか通用しなくなっていました。
そこで、ゴト師が目を付けたのが「壁島」の存在です。

「壁島」というのは、その字のごとく、壁に面した島(パチンコ・パチスロ台の列)のことです。
壁切り
夜中に、お店の外壁の赤い印のあたりに50cm×50cmくらいの穴を開けると・・・
もう目の前はパチンコ台の裏側なんですよね。
穴さえあけてしまえば部品の取付けは簡単だったと思います。
で、事後はご丁寧に外壁を補修して帰ります。
(この手口は実際に目の当たりにしたので、仕事の丁寧さに感心したものです。)

方法⑤
パチンコ店に設置される前に、不正部品を取り付けてしまう。

この時期になると、お店の警戒が強くなり、ゴト師がパチンコ店に忍び込むことが大きなリスクになっていましたので、「何とか店に侵入しなくてもいい方法はないか?」と考えた結果がこの方法です。
メーカーで製造されたパチンコ・パチスロ台は、トラックで運ばれ、倉庫に保管され、またトラックで運ばれ、倉庫に保管され・・・・というのを何回か繰り返してお店に届きます。
この経路のどこかで侵入して部品を取り付けてしまいます。
パチンコ店よりも、運送業者や倉庫業者に侵入するほうが、警戒が手薄で楽だったんでしょうね。

方法⑥
従業員を抱き込んで、部品を取り付けさせる。

行きつくところに落ち着いたのがここでした。
ちょっとお金に困っていそうな従業員に何十万か握らせれば、甘い言葉に乗せられてやってしまうんです。
一度手を染めてしまうと、今度は逆に「やったことをお店にバラすぞ」と脅され、くりかえし不正の手伝いをさせられるんです。
ちなみに、不正な部品の取付けは「器物損壊罪」に当たりますので、罪に問われるのは、残念ながらこの従業員さんだけ、です。

 

このゴト手段についての説明は、これくらいにしたいと思います。

本当はもっと詳しい話、もっと怖い横道のストーリーがあるんですが、もう3000字近く書いているので・・・。

 

なお、最近はこの手口の被害はほとんどないようです。
遊技機メーカーさん側で、根本的な対策をしたように聞いています。
また、パチンコ店を取り巻く環境が変化したことで、この手口でゴト師が得られるものが少なくなってしまった、という要因もあります。

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