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民泊の名義変更

家の売買

「民泊を買ったのですが、何か手続きが必要ですか?」
「簡易宿所を買おうと思っているんですが、気をつけることはありますか?」

このようなご相談を頂くことがよくあります。

このご相談に対する、私の第一声は、
「買い方によります。」
です。

 

1.民泊や旅館業の許可等を得ている建物を購入した(または賃借権の譲渡を受けた)場合

寝具、家具、什器などの備品付きで購入(譲り受け)した。
民泊代行業者も前経営者から紹介してもらったので、変更なくそのまま。
「何も変わっていないから、手続きは何もいらないでしょ?」

いや、経営者が変わってますからね?

「経営者が変わっている」ということは、新規に許可等を取り直す必要がある、ということになります。

不動産屋さんの広告、売り文句で「特区民泊の許可取得済み物件!!」なんて書いてあると、「許可取らなくていいんだ!」と思っちゃいますよね。
だまされないで下さい。不動産屋さん、結構正しいことをご存じないケースが多いです。私の経験では。

 

2.民泊や旅館業の許可等を得ている人や会社から、事業を買った(譲ってもらった)場合

事業そのものを譲り受けた場合、多くは、建物の所有権か賃借権、寝具、家具、什器などの備品、さらに言えば従業員さんも含めて、まるっと購入(譲り受け)したというようなケースになるでしょうか。
「何も変わっていないから、手続きは何もいらないでしょ?」

いや、事業譲渡でも、経営者が変わっていることに変わりはありませんからね?

1と同じで、「経営者が変わっている」ということは、新規に許可等を取り直す必要がある、ということになります。

 

3.民泊や旅館業の許可等を得ている会社を「株式譲渡の方法で」買った場合

許可保有法人の株主から多数の株式を譲り受けることで、その法人の事実上の支配権を得たような場合は、その法人の人格に変動はないわけですから、基本的に手続きは不要です。
この方法でM&Aを行った場合、代表者が変わる、社名が変わる等が行われるケースが多く、変わる場合は簡便な変更手続きを行わなければなりません。

この方法の場合、問題になるのは旅館業や特区民泊などの許認可の点ではなく、法人買収における債務等のリスクの検討のほうが大きな課題になります。

 

4.民泊や旅館業の許可等を得ている会社を「会社分割、会社合併の方法で」買う場合*1

会社分割、会社合併の手法によって、許可等を有している法人を「買った」というと語弊がありますが、我が物にした場合は、基本的に許可の承継手続きが必要になります。
新規許可の手続きとは異なり、法人の人格の変動の部分に着目した審査が行われますので、新たに許可申請をする時と比べると簡便で審査時間も短くなる傾向があります。

*1「買った場合」ではなく、「買う場合」と書きました。
会社分割、会社合併による許可の承継には、許可の「承継承認」を得る必要があります。
「承認」という言葉の意味通り、原則として、合併や分割の前に承認を得る必要があります。
(原則としてと書きましたが、事後承認でOKという保健所の存在を私は知りません。)
つまり、買ってからでは、正確に言うと、分割や合併の登記をしてからでは遅い、ということです。

 

「個人から民泊や旅館業の許可等を譲ってもらう」ことについては書いてありませんが、これは不可能です。
新たに許可を取り直す必要があります。

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