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民泊をやるなら、3階建て、できれば2階建てまでがいい。という話。

3階建て

タイトルが結論なんですけどね。

 

今日のお話は、堅牢なマンションの一室で行う民泊には当てはまりません。

戸建住宅で行う民泊や、堅牢とは言えないような集合住宅(アパート?メゾン?)での民泊のお話です。

 

■建築物の規制の面から考える(建築基準法等)

「宿泊室は3階より上に設けてはならない」

これが建築物の規制の原則です。だから、これをひっくり返すと、

「宿泊室を1階や2階に設けるのは問題ない」

ということになりますので、「できれば2階建てまでの建物にしておくといいですよ」となります。

 

もちろん、「原則」には「例外」があります。

 

例外①「建物が耐火建築物の場合は、この限りではない。」

耐火建築物とは、(本当はすごく難しい概念なのですが)ものすごく簡単に言うと、燃えにくい建物のことです。
鉄筋コンクリート造の堅牢なマンションは、部屋の中が火事になることはあっても、建物そのものが燃え落ちてしまうにはかなりの時間がかかります。
だから、「火事に気が付きさえすれば、高い階に泊まっている人でも逃げる時間があるだろう」ということで、例外になります。

よくある質問で「この建物は鉄骨造だから、耐火ですよね?」というものがありますが、これは教科書的な間違いになります。
鉄骨造の建物なんて、簡単に燃えますよ。
逆に、木造の建物でも、材料である木材に特殊な「燃えない加工」を施せば耐火建築物にできます。
ただ、建築コストが尋常でなくかかるので、普通の住宅で一般的に行われていることではありません。

例外②「次の条件をクリアすれば、3階に限り宿泊室を設けても良い。」

条件とは、
・階段と居室の間を「壁」か「ドア」で囲む。
・階段と居室の間のドアは、手を離すと自動的に閉まるようにする。
・階段と居室の間のドアは、閉まった状態で煙を遮る能力があるものを使う。
です。

※上の条件を1階から3階までのすべての階段と居室が満たさなければいけません。
※4階以上の部分には例外的条件はありません。

この条件を元々満たしている建物もたまにありますが、ほとんどの場合、この条件を満たすために大小の改築が必要になります。
中には、元々の間取りを完全に変えてしまわないと条件を満たせない建物もあるので、その場合は素直にあきらめたほうがいいでしょうね。

 

■消防法令の面から考える(消防法等)

戸建住宅や小規模なアパートを民泊にする場合、ほとんどのケースで「各種消防設備を設置」することになります。
設置を求められる消防設備のうち、「自動火災報知設備」がここでのテーマになります。

通常、「自動火災報知設備」の設置は、かなり大掛かりな工事になります。
費用も100万円くらいは見ておいた方が(場合によってはそれ以上)いいものです。

ただし、平屋建て、2階建ての建物(延床300㎡未満)であれば、「特定小規模自動火災報知設備」という、超!お買い得な設備で許してもらえます。
費用は20~30万円くらいです。

では、「3階建て」は?

次の条件を満たした上で、消防署から「特例承認」をもらうことで、「特定小規模自動火災報知設備」を使うことが認められます。

・地階を含む階数が3以下であること。
・延べ面積が300㎡未満であること。
・3階または地階の宿泊室の床面積合計が50㎡以下であること。
・全ての宿泊室の出入口扉に施錠装置が設けられていないこと。
・全ての宿泊室の宿泊者を一の契約により宿泊させるものであること。
・階段部分には、煙感知器を垂直距離7.5m以下ごとに設置すること。
・特定小規模施設用自動火災報知設備が156号省令第3条第2項及び3項の規定(25号告示第2第5号を除く。)により設置すること。

つまり、すべての3階建ての建物でできるという話ではないということです。

 

というわけで、この2つの面から、イニシャルコストや準備時間、気苦労などなど2階と3階でまるで変ってきますので、

選ぶことが可能であれば

2階建てまでの物件にしておいたほうが、いろいろいい

ということになります。

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