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「消費税を請求しません」

 2024/01/12 とある行政書士の日常ブログ この記事は約 4 分で読めます。 316 Views

いや~

お恥ずかしい話なんですが・・・・

自分に関係なかったもので、大いなる勘違いをしておりまして、

恥をかいたというか、何というか・・・・。

 

昨年10月からインボイス制度が始まりました。

結構影響が大きな制度変更なので、制度が始まる前に、年間の売上が1千万円に満たない個人事業主が今後どうすべきか的な話がだいぶされていました。

その話の中で、「インボイスは登録したくないけど、取引先から嫌がられるから」という理由で、

「消費税を請求しない」

という選択肢が出てきたんですね。

 

その話を聞いたとき、私にはあまり関係のない話だったので、よく検討もせず、

「そういう選択肢もあるんだな」

と思ってしまったんですね。

 

で、先日、別の所で消費税の話題になったときに、頭の片隅にあったその話を、さぞ正しいことのように話してしまったんです。

それを聞いていた方から「それって本当に大丈夫なんですか?」と聞かれて、初めてそこで「そういえばちゃんと検討してないな」と気が付いて、訂正する羽目になってしまったんです。

 

消費税法 第4条(課税の対象)
国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。

 

「消費税を課する」と書いてある以上、「消費税は課する」んです。

事業者が個々に判断していいものではないんですね。

ただ、消費税免税事業者は「納税義務を負わないだけ」です。

 

だから、免税事業者が消費税を請求しないが如く請求書を作って、相手がその金額に沿って支払いをしたとしても、その金額には当然に消費税が含まれているわけです。

このシチュエーションで困るのは、実は支払い側なのではないかと思います。

例えば、インボイス登録をしていない免税事業者が、これまで税込み11万円で請求していたところ、「消費税を請求しません」ということで10万円を請求したとしても、その中には9,090円の消費税が含まれているということになります。

免税業者側は、自らの判断で(発注者に強制されたわけではなく)そのようにしているわけですが、免税であるが故に請求した10万円が全額手に入るので、問題ない(?)んですね。

ところが、支払い側は、「10万円の中には消費税が含まれていない」と判断すると大間違いなわけですよ。

実際は、税抜90,910円+支払い消費税9,090円なわけで。

 

このやり方にはもう一つの問題点が。

↑の下線部「問題ない(?)んですね。」というところなんですが、問題あるんです。

そもそも、「取引先に対する消費税1万円が取引先の負担になる」という理由で、「消費税を請求しない」体裁で実際は「値引きしているだけ」なのですが、ここまでのお話しでご理解頂けるように、実際に取引先の負担額は9,090円なんですよ、1万円ではなく。

つまり、値引きしすぎ、ということになります。

フェアじゃない、と思いませんか?

 

この例で言うと、

100,833円を請求すれば、値引き額は9,167円、つまり、免税事業者が泣く金額が9,167円となりますが、

100,833円は、税抜91,666円+支払い消費税9,167円となり、取引先の負担も9,167円となり、等しくなります。

まあ、しばらくの間は激変緩和措置があるので、そう問題にもならないでしょうし、激変緩和措置の後は、なし崩し的に「インボイス登録するのが当たり前」みたいになっていて、こんなことを考える必要がなくなっているのかもしれませんが。

(ご参考まで)

X=両社が泣くべき金額

Y=元々の税込み価格 として、

X=Y÷12

で計算できます。

(この計算は10%の話をしています。8%の場合は÷11.8に変えると合う・・・はず?)

 

※私は税理士ではないので、この見解が正しいという保証ができません。ご自身で確認して下さいね。

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