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住宅宿泊事業での「宿泊者の安全確保」について その2「防火区画」

Bの説明図

前回に引き続き、「宿泊者の安全確保措置」について説明していきます。

 

2つ目の安全確保措置は「防火区画等」です。
「防火区画」をきちんと説明するのは大変難しいので、例のごとく端折って説明します。
簡単に言うと「ある部屋で火事が起こったとき、他の部屋に簡単に燃え広がらないように壁で仕切りを入れる」ということです。

 

まずは、防火区画等を設けなければならないか否かを判断します。
次のどちらかに該当する場合は、この措置は不要です。

1.宿泊室の床面積の合計が 50 ㎡ 以下で、かつ宿泊者の滞在中に家主が不在とならない。
2.届出住宅の複数の宿泊室に同時に複数のグループを宿泊させることがない。

これに該当しない場合は、次の措置(A~C)のどれかを講じる必要があります。

A.防火区画を設ける
その建物の構造により、内容は異なりますが、端折ってご説明すると、
・宿泊室と避難経路の間の壁は「準耐火構造」「天井裏まで到達させる」ことが必要。
・場合によっては、宿泊室と宿泊室の間の壁も同様に。
・給水管、排水管、配電管等が上記の壁を貫通する必要がある場合は、貫通する穴にすき間ができないよう、モルタルで埋める。
・換気、吸排気、冷暖房の風道(いわゆるダクト)が上記の壁を貫通する必要がある場合は、防火ダンパーを設置する。

B.自動火災報知設備等の設置
自動火災報知設備の設置し、それに加えて次の措置を行う。
①屋外への出口(避難上有効なバルコニーを含む)に直接逃げることができる部屋、部分はそれ以上の措置は不要。
②部屋の出口から屋外への出口までの歩行距離が8m以内の部屋は、「壁造り+ドアクローザー付きの戸」で区画する措置が必要。
③部屋の出口から屋外への出口までの歩行距離が16m以内の部屋は、「壁造り+ドアクローザー付きの戸」で区画し、その部屋とその部屋から屋外への出口までの通路の内装を難燃材料で仕上げる措置が必要。

C.スプリンクラーの設置
表題の通りですが、数百万円ではできませんので・・・・。

 

正直に申し上げて、既存の建物で後からこの条件を満たす工事を行うのは、かなり大変です。
(たまたま条件が整っている建物で民泊をするなら可能だと思いますが)
ビジネスとしての民泊を考える場合、この条件を満たすことを考えるより、計画を修正したほうが前向きなお話になるのではないかと思います。

注)準耐火構造の壁、「壁造り+ドアクローザー付きの戸」ということは、障子やふすまで仕切られているのではダメです。

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