パチンコ屋さん時代の思い出 その18
元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、気が向いたときにパチンコ店の裏話的なことを書くコーナーです。
今日のテーマは「芸能人招へいイベント」です。
最近では少なくなりました(なっていると思うのです)が、一時期、具体的に言うと10年前くらいですかね、パチンコ店が集客のために
「芸能人を呼ぶ」
という催事、イベントをよくやっていました。
「○○○○さん、来店!」
みたいな感じです。
こういうことをやっていたのには、裏事情がありまして・・・・。
どんな商売でも、競争(競合)が激しくなると、サービスが過激になっていきますよね。
パチンコ店も同じで、出玉を増やしてお客さんを喜ばせることが、未来の集客につながってくる。
でも、出玉を増やしても、お客さんに来店してもらわないと、お得感というか、「ウチは出す店です!」というのをアピールできない。
だから、出玉をただ出すだけではなく、「明日は出すから来てね」と、お客さんに伝えないといけない。
お客様に来店してほしい場合、例えばスーパーマーケットなら「明日は大安売り!卵が1パック驚きの10円!」みたいな具体的な宣伝をしますよね。
ところが、パチンコ店は、それができない。
なぜか?
正しい説明をしようとすると、ものすごく長い話になってしまうので、端折って言うと、
「出すからパチンコを打ちに来てね」という宣伝は、人々に「真面目に働くことを放棄させ、楽して簡単に財物を得ようとする気持ちを湧きあがらせる」
ので、禁止行為とされているからです。
ところが、どんな業界でも多かれ少なかれある話ですが、パチンコ業界でも同様で、
「禁止されていることは、ギリギリ禁止されていないところを狙おう」
とするんですね。
パチンコ店は、当初「出血大サービス」と言います。
「出す」とは言っていないわけです。
でも、いかにも出しそうでしょ?
だから、パチンコを打つ人は、この文言を見て(これは、出すという意味だな)と思うわけです。
ところがしばらくすると、これが警察に知られることになり、
「出血大サービスとは、出すという意味だろ!けしからん!この文言は禁止だ!」
となります。
パチンコ店は、次に「甘釘調整」と言います。
これもまた、「出す」とも「出血」とも「大サービス」とも言っていないわけです。
でも、「甘い」ってことは「いつもより良さそう」でしょ?
だから、パチンコを打つ人は、この文言を見て(これは、出すという意味だな)と思うわけです。
ところがしばらくすると、これが警察に知られることになり、
「甘釘調整とは、玉がたくさん出る改造を施しているという意味だろ!けしからん!この文言は禁止だ!」
となります。
しかたがないのでパチンコ店は「明日は特別に有名店の甘~いケーキを景品としてご用意します!」と言います。
実際に、有名店のケーキを用意します。
でも、パチンコを打つ人はわかるんですよ。(これは、出すという意味だな)と。
だって、「甘~い」だけ字が大きいんですもの。
で、しばらくすると、これも警察に知られることになり、
「甘~いケーキには、出すという隠れた意味があるだろう!けしからん!こういう催事は禁止だ!」
となります。
こういうようなプロセスの中で生まれたのが、
「芸能人が来るよ!みんな見に来てね!」
という、一見しただけでは「出す」という隠れたメッセージが分からない、でも、パチンコを打つ人だけは「本当の意味」が分かる宣伝手法です。
私が現役の時代にも、いろんな方をお呼びしました。
京本政樹さんとか、江頭2:50さんとか、加藤茶さんとか、赤井英和さんとか。
長くなったので次週に続きます。