民泊昔話「知り合いの電気工事屋に頼んだら半額以下」
特区民泊や住宅宿泊事業に関する法律が2018年6月15日から動き出し、今では何らかの手続きを行った上で民泊事業をするのが当たり前になっています。
しかし、この法律が動き出す前後は、まだそうではなかったし、当時民泊事業をしていた方々は「許可って何?」というような感じでした。
「規制強化」「なんで許可なんか取らなきゃいけないの」という風に受け取っていた方が大多数ではなかったかと思います。
私たちから見れば2018年6月15日よりも前だろうと後だろうと、何の法律的バックボーンなしに宿泊事業を行うことは、単なる「旅館業の無許可営業」でしかなかったわけで。
そのような土壌でしたので、全員がそうだったとは申しませんが、その時点で民泊事業をされていた方は、あまり法律をご存じなく、守ろうというお気持ちもないように見受けられました。
私がよく出くわした場面は、次のようなものです。
民泊予定物件を拝見すると、通常そのほとんどのケースで「消防設備工事が必要」となるわけです。
「見積もりを取らないとわかりませんが、だいたい○○万円くらいですね」
と、このように申し上げてその日はお別れするのですが、後日ご相談者からお電話を頂くのです。
「知り合いの電気屋に頼んだら、先生の言う半分以下の金額でできるみたいなんで、それで進めようと思います。」
うーん・・・・・電気屋ねぇ・・・・。
そこで次のように申し上げるわけです。
「念のため、その電気屋さんが消防設備士の資格をお持ちか確認しておいて下さいね。設備だけ取り付けても、その後の手続きや検査立会いができないと、結局前に進みませんからね。」
確かに、電気工事と消防設備工事は近い領域のもので、両方の資格をお持ちの方も多いと伺っていますが、一部の例外を除いて、基本的に消防設備の設置は消防設備士の資格を持った方しかできません。
もう一点、宿泊事業の場合においては、「設備が設置されていること」ではなく「消防法令に適合していること」を求められます。
この二つの表現は、同じようで全く違います。
細かいことは省きますが、消防設備士さんの力を借りなくても民泊の手続きが進むケースはほとんどない、ということです。
電気屋さんに頼んだら安く済む、それは、「電気屋さんは、消防署に手続きをする料金までは含んでいない」からです。