契約って何だろな?
行政書士のお仕事で「各種契約書の作成」「契約書のチェック」というのがあります。
「相手から契約書が送られてきたんだけど、よくわからない」
「こういう商売をするから契約書を作りたいんだけど」
という具体的なご相談もあれば、
「今まで契約書なしでやってきたけど、あったほうがいいと思って」
「今まで使ってきたこの契約書、作り変えたほうがいいと思う?」
という漠然としたご相談もあります。
ご相談内容が具体的であっても、漠然としていても、お客様のご希望を汲み取ってお応えするわけですが・・・
「そもそも契約、契約書って何でしょうかね?」
というお話。
契約とは、簡単に言うと「約束」です。
売買契約を例にしますと、
Aさんが「その自転車を1万円で売ってくれませんか?」とBさんに申込み、
Bさんがその申込みに対して「いいですよ」と承諾の意思表示をする。
これで、この約束、契約が成立するわけです。
この約束によって、AさんはBさんに1万円を払う義務が生じ、Bさんから自転車を受け取る権利が生じます。
Bさんはその逆です。BさんはAさんに自転車を引き渡す義務が生じ、Aさんから1万円受け取る権利が生じます。
皆さんも、契約書を交わさずとも、日常的に契約をしています。
スーパーやコンビニで、値札を見て用品を選んでレジに持って行ってますよね?
駅で切符を買ってますよね?銀行にお金を預けたり引き出したりしていますよね?
全部、契約です。
契約は、申込みと承諾の意思表示が合致すれば、それが口頭によるものであっても成立します。*1
しかし、口約束は、双方の記憶に依存するので「言った」「言わない」と、トラブルになりがちです。
そして、口約束では細かい条件まで決められない。決めたとしても覚えていられない。
ましてや、第三者に「約束の内容を説明する」のに、記憶を呼び起こして説明するのは、何とも心許ない。
そこで、約束の内容を明確に記録することが必要になります。
契約の内容を記録したものが契約書というわけです。
契約書に署名捺印することが「契約」ではありません。
契約書は「契約」の証拠品です。
「契約」や「契約書」についての話題は結構深いものがありまして、1回のブログでは書ききれません。
他の機会に別の切り口から書いてみようと思います。
*1:消費貸借契約、使用貸借契約、寄託契約は、合意に加えて物の引渡し等が行われないと契約が成立しない。