パチンコパチスロの雑学 その7 釘調整の話・・・その2
元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、パチンコやパチスロに関する「へぇー」と言えるような言えないような、明日から役に立つような立たないような、人に自慢できるようなできないような、そんな素敵なトリビアをご提供するコーナーです。
パチンコの還元率/利益率の調整は、「釘調整」という方法で行われているが、それはどのようなものなのか?
当面のテーマはこれです。
前回は、「釘」と「釘のたたき方」についてお話しました。
釘調整については、本当にたくさんのことをお話しできるので、どういう順番でお話しようかと思うのですが・・・・。
と、その前に。
多くの方が誤解しているかもしれないことを、正しておく必要があります。
それは、「出玉操作」についてです。
前も申し上げましたが、お店はパチンコ台の1台1台をリアルタイムにコントロールすることはできません。
例えば、「この台を大当たりさせてやろう」とか「この台はもうしばらく大当たりしないようにしてやろう」とかはできないんですね。
多くの、
ほとんどの、
99%以上の、
まともなパチンコ店は。
昔は、違法行為を堂々とするパチンコ店もありまして、高いお金をかけて、違法な「遠隔操作機」を取り付けていたお店もあったようです。
そのような設備は高額だと聞いていますが、それ以上の利益を得ることができたようです。
お客さんは大負けすると「遠隔操作で出さないようにしてる!」と仰るのですが、遠隔操作機というのは、
「大負けさせず、適度に負けさせる」
「負けさせながらも、たまに馬鹿みたいに出していい思いをさせる」
ことができるから導入するもので、これができるから「お客さんが繰り返し来て」結果的に儲かるわけです。
ボロ負けするのは、遠隔操作できない証拠でもあります。
お客さんが少ないお店だということも、残念ながら、遠隔操作していない証拠でもあります。
遠隔操作機は、
お客さんに繰り返し来店させ、長期的に数千万円~数億円の利益を得るためのもので、
お客さんをボロ負けさせ、短期的に数百万円の利益を得るためのものではないからです。
昔はそういうお店もあった、では、なぜ今はそういうお店がないか?なぜそう言えるのか?
昔は、新品のパチンコ台の値段は20万円ほどでした。
遠隔操作機を取り付けるには、台の改造が必要なので、さらに追加コストが生じます。
具体的なコスト額を私は知りませんが、新品のパチンコ台の数倍と理解しています。
昔は一度新台(新しいパチンコ台のこと)を導入すると、少なくても1年以上、長ければ6年間は使いましたので、初期投資が高額でも十分に回収ができたと思います。
ところが今は、新台の価格は40万円を超え、しかも、新台の使用期間は1年を切るものがほとんどです。
「次々と新しい台が登場し、古い台からお客さんが打ってくれなくなるのが、その原因」
と言いたいところですが、そうではなく、
「お客さんが次々と失望するほど、パチンコ台が面白くなくなっているのが、その原因」
というのが正しいところだと思います。
こんな市場環境下で高額な遠隔操作機を導入すれば、損益が合わなくなります。
パチンコ店経営を取り巻く環境は、本当に本当に厳しくなってしまいました。
昔は、「シャッターを開ければ勝手にお客さんが来て、勝手にお金を落としていってくれる」みたいなところがありました。
今は違う。
少ないお客さんをパチンコ店同士で取り合うだけでなく、スマホのゲームや他の低廉な遊びとも戦っていかなければいけない。
売上も、粗利益率も、営業利益率も、経常利益率もみんな低くなっている。
つまり、営業を長期に継続できなければ、事業として取り組む意義がない業界になってしまったということ。
明日突然警察に立ち入られて営業ができなくなっても「これまで十分儲けたからいいや」とは絶対にならない商売になってしまったということ。
この市場環境の変化が、「遠隔しないと儲けられないお店、経営者」の多くを、既に排除しています。
というのが、私の持論です。
残念ながら確認を取る方法はありませんけれど。
繰り返しになりますが、
多くの、
ほとんどの、
99%以上の、
まともなパチンコ店は、
そんなことはしていないし、
倫理的な意味でも
経営的な意味でもできません。