パチンコパチスロの雑学 「ゴト」について その1
元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、パチンコやパチスロに関する「へぇー」と言えるような言えないような、明日から役に立つような立たないような、人に自慢できるようなできないような、そんな素敵なトリビアをご提供するコーナー
なんですが、今週からしばらくの間、あるテーマについて連続で書いていこうと思います。
そのテーマとは「ゴト」です。
書き始める前から「連続で書く」ことになることが簡単に予想できるほど、このテーマは深いものです。
「ゴト」とは、
パチンコやパチスロで不正な手段で出玉(メダル)を獲得する行為
のことを言います。(「ゴト行為」という言い方もします。)
また、ゴトをする人たちのことを「ゴト師」と言います。
当然、パチンコ店にとってゴト師は「敵」の一つです。
不正に玉やメダルを獲得するわけです。言わば「イカサマ」ですから、胴元が許すはずありません。
お店が直接被害を受けるというだけでなく、遊技客間の不公平を生むという間接的な被害も生じます。
(ギャンブルというのはプレイヤー間の公平があるからこそ成り立つものです。)
ですから、パチンコ店はゴト行為を「予防」し、「発見」し、ゴト師を「追い出し」「捕らえ」なければならず、警戒しています。
しかし、当然ながらゴト師も仕事(「ゴト」の語源は「仕事」との説も)ですから、
・予防されないよう、
・発見されないよう、
・追い出されないよう、
・捕らえられないように
新しい手口を開発し、熟練度を高め、組織化し、巧妙化します。
パチンコ店は、被害の事例からゴト師のやり方を学び、対応を検討する。
するとゴト師は・・・・・
という、パチンコ業界がある限りなくならない、永遠のイタチごっこが繰り返されているのが事実です。
さて、まずはゴト師はどんな方法で不正を働くのか、少しずつ説明していこうと思います。
できるだけ、イメージしやすいものから順番に・・・・
事例1:磁石ゴト
パチンコ台の中には、「ここに玉が入りさえすれば大当たり!」という、超シンプルなゲーム性のものがあります。
例えば、「ミサイル7-7-6D」です。
①に玉が入ると、「クルーン」という3つ穴の開いたお皿に玉が流れます。
お皿に開いた3つの穴のうち、手前の穴に玉(②)が入れば大当り!
めちゃくちゃシンプルなルールです。
こんな感じです。
(0:40くらいに大当たりします。)
で。
磁石ゴトの手口とは、
工業用のものすごく強力な磁石を使って、盤面に発射された玉を①に誘導したり、クルーンの中に入った玉を手前に誘導すれば、大当りを自在に発生させられる。
というものです。
(普通に手に入るような磁石では、ガラス越しに飛び回る玉をキャッチできるような磁力はありません。)
非常に手口がシンプルな磁石ゴトですが、店員の目を盗んでガラス面に磁石をかざす必要があるので、対策も「見張る」というシンプルな対策になります。
当然、これに対抗して、ゴト師はチームで現れ、善良な一般客を装う引き留め役が従業員を足止めし、その間に仕事をするというようになっていきます。
ちなみに、仕事がバレた場合は、一目散に逃げます。
ゴト師は、万が一捕らえられたときのために、最優先で磁石を手放します。(殺人犯が凶器を遺棄するのと同じ理由です。)
この時、高価な工業用磁石を回収できるように、ガードレールとか交通標識に投げつけて引っ付けておくのが常套手段でした。
なお、磁石ゴトは今はほとんど行われていません。
1つは、シンプルなゲーム性のパチンコがほとんどなくなってしまったこと、
もう1つは、パチンコ台が標準仕様で「磁力感知機能」を搭載したこと、
この2つが理由です。
(とは言え、パチンコ台メーカーの対策不足で今も被害を受ける台があるとかないとか。)
今回はここまで。
次回はゴトの手口をもう少しお話します。