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続・雇用契約を結ぶより「業務委託」にしたほうがいろいろ楽って本当ですか?

契約書

当サイトで最も閲覧回数の多いコンテンツは、

雇用契約を結ぶより「業務委託」にしたほうがいろいろ楽って本当ですか?

でして(2020/6現在)、この記事を見られてのことなのか、割と頻繁にこの記事についてのご相談を頂きます。

 

ただ、そのご相談のほとんどは、
「人を雇うことになったのですが、雇用契約ではなく業務委託契約にしたいので、そういう契約書を作成してほしい。」
というもの。

 

うーん・・・・。

この手のご相談者様は、業務委託契約のメリットばかりに目が行って、「業務委託」「請負」そして「雇用」それぞれの違いをご理解されていないケースがほとんどです。
特に、「業務委託契約のデメリット」と「雇用契約のメリット」の不理解が大きいです。

 

業務委託契約書を巻く場合、その契約関係(相互に何を提供しあうのか)が本当に「業務委託」(「請負」や「準委任」)であれば、何の問題もありません。
よく問題になるパターンとして「業務委託の形を取った、雇用契約」、いわゆる「偽装委託」「偽装請負」*1が挙げられます。

(*1:偽装委託、偽装請負という言葉は、本来は労働者派遣法との関係で用いられるものです。しかし、偽装の本質部分においては「派遣会社」が「個人」に代わるだけなので、ここでは大差がないものとして扱っております。

 

契約書は、争いを防止し、または、争いが生じた時に事業を守る武器になるものでなければならないと思います。
しかし、偽装委託や偽装請負の契約書は、争いを防止することも、争いで事業を守ることもできません。
そんな無駄なものを作るために、費用をかける必要はないと思います。

 

また、偽装委託、偽装請負が破綻したとき(=その契約関係が雇用であると客観的に判断されたとき)に受けるダメージは、次のように予想されます。

  • 法定時間外労働や深夜労働などがあった場合は、割増賃金の遡及的請求があります。
  • 労働保険や社会保険の保険料を遡及的に請求される可能性があります。
  • 契約関係の終了を争うようなケースだと、最悪の場合、数千万円のダメージ(地位確認と休業補償)を受ける可能性もあります。
  • 税務面で、消費税について何らかの問題が生じることになります。*2
  • 労働者が複数おられる場合は、上記のダメージは全員分の合計となる可能性があります。

(*2:業務委託や請負の報酬には消費税が含まれているはずで、消費税の確定申告では、これらを仮払消費税として計上しているはずです。しかし、これは業務委託報酬ではなかった、給与等であったということになると、そこには消費税が含まれていませんから、修正申告が必要になり、まず間違いなく納税すべき額は上昇するものと考えられます。)

 

このような記事を書いているから、テクニック的なものを期待されているのかもしれません。
確かに、契約書作成は、専門的な知識もさることながら、センス(想像力)とテクニック(表現技法)によるところが大きいと思います。
どんな契約書であろうと上記のようなものを最大限振るって作成しますが、結局のところ、当事者が契約の本旨に沿った義務の履行をしているかどうか、つまり、ここで言うなら「労働契約ではなく業務委託契約の本旨に沿った実態」があるかどうかが、契約書の意義を左右することになります。

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