特区民泊の認定取得済み物件は、簡単に再取得できるのか?
「過去に特区民泊を取っていた物件ですので、取り直しも問題なくできますよね?」
民泊のご相談でよくあるシーンです。
残念ながら「そうですね!」とはお答えしません。
そして、実際問題、何の問題もなく許可等の取り直しができたことはほとんどありません。
特区民泊に限らず、旅館業や住宅宿泊事業でも同じですが、許可等の再取得は次のようなことが問題になります。
- 許可等を初めて取得した時は消防法令に適合できていたが、今は適合できていない。
- 以前の民泊運営がいい加減、特に周辺住民への対応が悪く、住民感情が悪化している。
他にも問題になることはあると思いますが、よくあるものとしてはこの二つではないでしょうか。
この内、2については、法律論ではありません。
周辺住民へ誠意ある対応と説明をするしかないでしょう。
ここでは、1について説明していきます。
比較的簡単に解決できるものとしては、「消防訓練未実施」と「設備点検未実施」です。
それぞれ年に〇回以上しないといけないのに、実施していませんよ、消防署に届出がされていませんよ、というもの。
消防訓練は時間も費用もそれほどかかるものではありませんので、きちんと実施して、消防署に報告することで解決です。
設備点検は、多少の費用がかかってしまいますが、それでも点検で数万円、故障が見つかって修理すると言っても、とんでもない故障でない限りはさらに数万円という程度ではないでしょうか。とにかく、お金で解決できるのであれば大きな問題ではないと思います。
怖いのは、簡単に解決できない問題に直面することです。
前に許可等を取ったときに比べて、建物の
- 広さ(増築、減築)
- 住居以外に使用している面積(民泊の戸数やテナント部分に飲食店が増えた等)
- 同じ階の収容人数(原因は↑と同じ)
- 建物全体の収容人数(原因は↑と同じ)
- 下階のテナント
などが変わったことで、知らない間に規制が厳しくなってしまっているケースがあります。
戸建住宅ではこういうことはあまり起こりませんが、集合住宅や長屋(←特にこれが危ない)ではよくあるケースです。
このケースは、
- 民泊事業者が単独で解決できるもの
- 大家さんや管理組合の協力を得る必要があるもの
- そもそも民泊事業の想定利回りでは回収不可能なレベルの費用がかかるもの
に大別されますので、それぞれ検討が必要です。