住宅宿泊事業での「宿泊者の安全確保」について その7「規模に応じた措置(ホ)」
前回に引き続き、「宿泊者の安全確保措置」について説明していきますが、安全確保義務については今日の説明で最後になります。
3つ目から7つ目の安全確保措置は、その民泊施設の大きさに応じて、必要な措置を講じなさい、ということになっています。
今日のテーマ、7つ目の、最後の安全確保措置は、
「宿泊者使用部分を3階以上の階に設ける場合」
についてです。
3階以上の階で住宅宿泊事業を行う場合、次の順番で考えます。
1.4階以上の階に宿泊者使用部分がある場合
2.または、3階に宿泊者使用部分があり、宿泊施設の面積の合計が200㎡以上になる場合
→建物が耐火建築物でなければなりません。
前回の記事でも説明しましたが、戸建住宅は、建築コストの関係から、普通は耐火建築物ではありません。
鉄筋コンクリート造のマンションであれば、だいたい耐火建築物です(要確認ですが)。
鉄骨造のアパートだと、耐火建築物ではない可能性もありますので、ご注意ください。
2.3階に宿泊者使用部分があり、宿泊施設の面積の合計が200㎡未満の場合
→次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。
1.火災警報設備を設ける。
2.階段部分と居室の間を、壁又は自動閉鎖性と遮煙性を有する戸で区画する。
自動閉鎖性とは、人が通る時だけ開くものの、人が通った後は自動的に戸が閉まる機能のこと、
遮煙性とは、煙が流れ出ないことを言います。
1については、住宅宿泊事業の多くの場合、消防法令に適合させるために火災警報設備を設けるのであまり問題になりません。
問題になるのは2です。
たまたまこの条件を満たす間取りの建物であれば、特に問題ないのですが、そうでない場合はリフォーム工事を要しますし、せっかく「いい感じ」の間取りだったものがおかしなことになるので、残念な結果になることが多いです。
ご相談の方には常々申し上げておりますが、戸建住宅での民泊は「2階まで」に留めておくのが、いろいろな意味で良い結果につながります。