最近本当に増えた「グランピング」についてのご相談の話 その2

このテーマは、
「グランピングで旅館業の許可取りたいんですけど」
とか
「グランピングって旅館業の許可を取らないとダメですか?」
等の相談についてのお話です。
さてさて、グランピングのご相談で一番の山になるのが、
建築基準法
(もう少し広げると都市計画法)
との関係です。
グランピング施設に必要だろうな、と思う施設は、
・寝室
・トイレ
・手洗、洗面
・浴場(またはシャワー)
・台所
最低でもこんな感じだと思うのですが、これってどんな風に置く?設置する?んでしょうか?
例えばこんな
コテージというのか、バンガローというのか、こういう建物を使うケースが考えられます。
これはもう誰がどう見ても「建築物」なので、当然、建築基準法の定めに沿って設計され、適法な手続きを経る必要がある、というのは、想像に容易いと思います。
では、例えばこんな
小さなテントに泊まってもらうというケースが考えられます。(グランピングと言うにはちょっとショボすぎますが)
これは普通に考えると「建築物」ではないように思いますよね。(詳細は後述しますが)
なので、(おそらく)建築基準法の規制の対象ではないでしょう。
では、こういうのは「建築物」でしょうか?
コンテナを「ポン」と置いているだけで、地面と固定していないから、「建築物」ではない、のでしょうか?
輪っかが付いていて、車で引っ張るお家、トレーラーハウスはどうでしょうか?
いつでも動かせるから、「建築物」ではない、のでしょうか?
小さなテントが建築物でないなら、大きなテントも建築物ではないのでしょうか?
これぞ「THE グランピング」といってもいいでしょう、ドームテントはどうでしょうか?
建築基準法では、建築物について次のように定義しています。
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
これを、めちゃくちゃ端折って簡単に噛み砕きますと、
・地面と固定されていて、
・屋根があって、
・柱か壁がある工作物
のことを建築物といいます。
上の例のどれも、「屋根があって」「柱か壁がある」のは共通しています。
(屋根、壁、柱の材質は問いませんので。)
となると、「地面と固定されているか否か」というところが論点になりそうです。
この「地面と固定されているか」というのは、必ずしも「基礎がある」という意味ではありません。
これも細かい説明を省いて、端折って端的に簡単に言うと、
「すぐに撤去できるか」
ということを指します。
コンテナハウスは、ほとんどの場合すぐに撤去できません。
「基礎で固定してないからクレーンがあればすぐ撤去できる」
と仰るかもしれませんが、そもそもクレーンを持って来ないといけない時点で、「すぐ」ではないんですよ。
しかも、中に人がいるということは、浄水や下水の管をつないでいるのではないですか?
電気はどうですか?エアコンの室外機とか付いていませんか?
これらは「すぐ」取り外せるんですか?
これは、トレーラーハウスにも言えることです。
また、トレーラーハウスの場合、車検が維持できていないと、すぐ動かせませんよね?車なんですから。
他にも、「本当に固定しなくてもグラグラしないのか?」なんて問題もあります。
判断に悩むのは、「大きなテント」や「ドームテント」です。
理屈はコンテナハウスやトレーラーハウスと一緒です。
「すぐに」撤去できるかどうか、です。
で、この「すぐに」の幅が、管轄の当局によって差がありまして。
これを判断するのは管轄の役所ということになりますので、事前協議が必要になります。
準備している施設が建築物に該当すると、
①そこはそれを建てて(設置して)いい場所か?
②それを建てる(設置する)ために必要な手続きが行われているか?
③建てよう(設置しよう)としているものの安全性は確認できているか?
という課題が生じますので、これらを検討することになります。
次回に続きます。