最近の労働基準監督署による監督指導
長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果
厚生労働省から、平成28年4月から9月までに実施した、「長時間労働が疑われる事業場への監督指導の結果」が公表されました。
詳細はこちら(厚生労働省HP「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」)
監督指導の対象は、1か月当たり80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場です。
先日、当サイトのブログでも申し上げましたが、監督指導の対象が、2016年4月より残業時間80時間超/月に引き下げられていますので、監督指導の件数は昨年に比べて倍増しています。
監督指導結果のポイント
公表結果によると、監督指導を実施した事業場は10,059件で、その内の66.2%にあたる6,659事業場で労働法令の違反があったとのことです。
監督指導により是正勧告書を交付した主な違反内容は、
- 違法な時間外労働、休日労働:4,416件(43.9%)
例:労使協定を上回る違法な残業実態があった。
- 残業代の不払い:637件(6.3%)
例:残業代を適切に支払っていない。
- 過重労働による健康障害防止措置未実施:1,043件(10.4%)
例:月間100時間以上の残業をさせているのに医師との面談をさせていない。
と、なっています。
また、「労働時間を過少申告するように上司が指示した」「タイムカードの打刻後も働かせた」など、労働時間の管理不適切を指摘された事業所(1,189件11.8%)もあったようです。
それぞれのパーセンテージを見ると、少なく感じてしまうかもしれませんが、
- 昨年同期と比べ、監督指導の対象事業場数は倍以上に。
- 昨年は、監督指導の結果、法令違反があったのは80%弱。
このようなことから考えると、「法令違反の明確な確証がなくとも、疑いがあれば立ち入りに入る。」というスタンスであることが伺えます。
「ウチみたいな小さな会社には労基は入らないよ」???
そんなことはありませんよ、社長さん。
今回の公表データをよく見ると、「企業規模別の監督実施件数」として、
- 1~9人:518件(5.1%)
- 10~29人:1,094件(10.9%)
全体としては少ない数ですが、「だから来ないよ」とは言えない数字だと思います。
監督指導の今後の方向性は?
長時間労働に関しての指導は、ますます強化されると考えられます。
冒頭にも書いたように、監督指導のきっかけは「違法な長時間労働の疑い」ですから、これを如何にしてなくすか、という努力と工夫が必要でしょう。
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