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(忘備録)所有者不明土地問題解消のための法改正 その6「民法のルールの見直し②」

法律書

3.民法のルールの見直し

3-3.遺産分割に関する新たなルールの導入(令和5年4月1日施行)

言っていることはシンプルだけど、ちゃんと理解するにはちょっとややこしいので注意。

【原則】
相続開始から10年経過した後にする遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分(又は指定相続分)による。

※法定相続分:民法のルールに沿った相続財産の分け方。
※指定相続分:遺言がある場合に、遺言により指定された相続財産の分け方。
具体的相続分:法定相続分でも、指定相続分でもない、相続人で話し合って決めた相続財産の分け方。(これには、特別受益や寄与分の規定も含まれる。)

【例外】
①【超重要!】
相続開始から10年以上経過していても、具体的相続分(特別受益や寄与分を含む)による遺産分割に相続人全員が同意する場合は、具体的相続分での遺産分割が可能。

10年経過前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割請求をしたとき→10年経過後も裁判所による審判や調停で、具体的相続分での遺産分割が可能。
(更に例外で、10年の期間満了前6か月以内に、遺産分割請求をすることができないやむを得ない事由があった時うんぬん、というのがある。)

 

【超!シンプルまとめ】
1.相続開始から10年以上経過しても、遺産分割協議は有効であり、期限が切られるわけではない。
2.相続開始から10年以上経過しても遺産分割協議がまとまらなくて、裁判所に遺産分割をお願いすると、基本的に法定相続分(又は指定相続分)での分割になって、特別受益や寄与分は認められない。
3.特別受益や寄与分を主張したい場合、相続開始から10年が経過する前に家庭裁判所に遺産分割請求をするべき。

 

【経過措置】重要!
改正法の施行日前に被相続人が死亡した場合の遺産分割についても、新しいルールを適用する。
ただし、経過措置により、少なくとも施行時から5年の猶予期間を設ける。←猶予期間についてはこれがすべて。

・平成25年4月1日以前に開始した相続:令和10年4月1日から具体的相続分による分割の利益喪失。
・平成25年4月2日以降に開始した相続:令和10年4月1日から具体的相続分による分割の利益喪失。
・平成30年4月2日以降に開始した相続:相続開始後10年経過した日から具体的相続分による分割の利益喪失。

 

重要だらけでよくわからんな。

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