簡易宿所・旅館業の許可手続きについて 大阪市編 その6「簡易宿所って何?」
ここでは、大阪市内で「簡易宿所」や「旅館」の許可を得る手続きについて説明していきます。
今日のテーマは、簡易宿所についてです。
この仕事をしていると、「簡易宿所」という言葉を誤って理解している人が多いなぁ、と思います。
よくある間違いが、
「民泊=簡易宿所」
「簡易宿所の許可を取るのは簡単」
「簡易宿所=簡易宿泊所」
です。
まず、2つ目の間違い「簡易宿所の許可を取るのは簡単」ですが、まったくもって間違いです。
簡易宿所の「簡易」は「簡単な」という意味ではありません(怒)。
ホテル・旅館と同じ枠組みですから、手続きや条件もそれほど差はありません。
3つ目の間違い「簡易宿所=簡易宿泊所」ですが・・・・まったく間違い、とは言えません。
既存の「簡易宿泊所」と言われる施設のなかには「簡易宿所営業」の許可をもって事業をしているところもあります。
この間違いは、だいたい「この言葉を用いる場面を間違えている」ことが多いです。
「簡易宿所」というのは、許可の区分の名称ですが、「簡易宿泊所」というのは、宿泊事業の一形態と言いましょうか。
「ホテル」「旅館」「民宿」「民泊」「グランピング施設」などと並んで「簡易宿泊所」という形態がある、ということですね。
「簡易宿泊所」というのは、いわゆる「ドヤ」のことで、比較的ゆとりのないスペースと素晴らしくない宿泊環境を安く提供する宿泊事業のことです。
「簡易宿泊所をやりたいんですが」と相談を持ち掛けられると、ギョッとしてしまいます。
最後に、1つ目の間違い「民泊=簡易宿所」ですが・・・・・まず、法律を確認してみましょう。
旅館業法 第2条第3項
この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け(略)
シンプルな条文なので、噛み砕くのは難しいのですが、簡単に言うと、
簡易宿所とは、「一つの寝室を見ず知らずの人たちと共用する宿泊施設」のことを指す。
ということです。
これは、例えばユースホステルやカプセルホテルのような形態のことを言います。
皆さんが想定する民泊は、「1グループの旅行者たちに、家を貸す」という感じですよね?
この時点で、宿泊客は「見ず知らずの人たちではない」わけです。
つまり、皆さんが想定する民泊は簡易宿所ではない、というわけです。
「というわけです」と、言い切りましたけれど、実際、保健所で「民泊は簡易宿所営業」と言われた方、民泊施設で簡易宿所営業の許可を取られた方はたくさんいると思います。
どういうことなんでしょうか?
それは、一部の自治体では、条例で「ホテル・旅館営業には、ロビーが必要」「玄関帳場が必要」としており、ロビーや玄関帳場を設けることができない宿泊施設を「すべて簡易宿所営業」と取り扱っているという実態があるからです。
大阪市ではそのような取り扱いをしておりませんので、不特定多数が一寝室を共用するということがない限り、民泊であっても「旅館・ホテル営業」となります。