パチンコ屋さんの景品買取所うんちく その7「三店方式の実態(のウラ)」
元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、気が向いたときにパチンコ店の裏話的なことを書くコーナーです。
今回の画像も500円玉のオモテとウラです。
前々回(こちら→■)は、パチンコの換金を合法たらしめる「三店方式」について書きました。
今回も、みんなが知らない「三店方式のあれこれ」の中で「へぇ~」と思えること、特にネガティブなことについて書いていきます。
今日もこの図を使いまして・・・・・
「合法的換金のタテマエ」として、こういう仕組みを作った、というのはわかったのですが、実際どうなんですか?というお話。
実際は、「あくまでタテマエ」という扱いです。
このタテマエは、厳守されていません。
厳守できるような仕組みにはなっていないといいますか・・・・
実際にやってみると、厳守するのに大変なコストと労力がかかることが分かってしまった・・・・ので、あきらめた、というのが正しいのかな?
実際は、想像に容易いですが、こんな感じです。
都道府県や景品卸売業者にもよって違いますが、例えば、
(某県遊技業組合系景品卸売業者)
朝だけ、景品卸売業者が特殊景品を運んでくるが、朝以外の時間はパチンコ店のスタッフが景品買取所から特殊景品を運んでくる。
(某県遊技業組合系景品卸売業者)
朝だけ、パチンコ店が景品卸売業者にお金を払い、景品卸売業者がそのお金を景品買取所に渡すという体裁を守っているが、朝以外の時間はパチンコ店のスタッフが直接景品買取所にお金を持って行く。
(某県遊技業組合系景品卸売業者)
パチンコ店への特殊景品の引き渡しについては、徹底して景品卸売業者が行うが、お金については全時間帯においてパチンコ店のスタッフが直接景品買取所にお金を持って行く。
某県遊技業組合系景品買取所業者の場合、景品買取所とパチンコ店の間の内線電話や防犯カメラをパチンコ店側の負担で設置するのが当然であるが、
非遊技業組合系景品買取所業者の場合は、直接取引を疑われることを嫌い、内線はなし、防犯カメラも買取所業者が独自に設置するなど、
非遊技業組合系の業者のほうが、法令やタテマエ運用を徹底する傾向にあったように思った。(私見です。)
というような実態があります。
これは、ちょっと考えればわかることなのですが、
「景品卸売業者の存在は、本来パチンコの仕組みに必要ないもの」なので、
タテマエのために走らせるトラックの燃料代や
タテマエのために雇う従業員の給料などの景品卸売業者のすべての経費は、
それを捻出するパチンコ店にとって、何らの利益を生まない無駄な経費である、
ということに起因しています。
また、都市部と田舎・・・・・というか、県土の広さやパチンコ店の密集度合いの違いにより「タテマエの厳守度合い」に差が生じます。
東京や大阪は、県土が狭く、パチンコ店もある程度密集していますが、他の県は県土が広く、パチンコ店も都市部に比べ密集していません。
1台のトラックでカバーできるパチンコ店の数が、東京や大阪のそれと、それ以外の県でのそれはまったく異なるでしょう。
それだけではありません。トラックの走行距離、雇用しておくべき従業員の数、営業拠点の必要数なども大きく差が出ます。
これらは、「タテマエを守るためのコスト」に影響を及ぼします。
都市部でもそうですが、田舎に行けば「とてもじゃないが、タテマエを守るための経費を負担することができない」ということになってしまうのです。
パチンコ店の経営環境は、昨今どんどん厳しくなり、自分たちの業界の「最も重要な構成要素の一つ」である、こんな薄っぺらなタテマエさえ守れなくなっている・・・・だけならよかったのですが、積極的にタテマエを無視して、警察に摘発されるに至るお店が結構あるのは、個人的には大変残念です。
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