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風営法(風適法)を超簡単に解説55 「風適法上のラブホテル」

 2022/06/29 とある行政書士の日常ブログ 風俗営業と夜の商売 この記事は約 7 分で読めます。 2,610 Views
らぶほ

ご注意:「超簡単」にこだわったので、表現に厳密性を欠いているおそれがあります。

 

今日のテーマは、「風適法上のラブホテル」です。

まずは、おさらいです。

 

風営法の規制対象業種は次のようなものがあります。

■風俗営業【許可制】
 1.接待付き飲食店(キャバクラ、ホストクラブ)
 2.低照度飲食店
 3.区画席飲食店
 4.まあじゃん屋、ぱちんこ屋等
 5.ゲームセンター等

■性風俗関連特殊営業【届出制】
 A.店舗型性風俗特殊営業
  1.個室付浴場(ソープランド)
  2.ファッションヘルス
  3.ストリップ劇場、ヌードスタジオ、のぞき部屋
  4.ラブホテル、モーテル、レンタルルーム ←今日やるのはここ!
  5.アダルトショップ
  6.出会い系喫茶
 B.無店舗型性風俗特殊営業
  1.デリバリーヘルス
  2.アダルトビデオ等通信販売
 C.映像送信型性風俗特殊営業(有料アダルト動画サイト、アダルトライブチャット)
 D.店舗型電話異性紹介営業(テレフォンクラブ)
 E.無店舗型電話異性紹介営業(ツーショットダイヤル)

■特定遊興飲食店営業【許可制】(ナイトクラブ、ショーパブ)

■接客業務受託営業(コンパニオン派遣)

■深夜酒類提供飲食店営業【届出制】(バー、ラウンジ)

■飲食店営業

■興行場営業(ストリップ劇場等に該当しない興行場)

■特定性風俗物品販売等営業(アダルトショップに該当しないアダルト物品販売業)

※青色が既にご説明したものになります

 

「風適法上のラブホテル」

何故わざわざ「風適法上の」を付けるのか?と違和感を感じた方もいるかもしれません。

風適法には次のように定められています。

(用語の意義)
第二条 (略)
6 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
(略)
四 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業

男女で泊まったり休憩したり(休憩利用がある時点でアレですが)する宿泊施設、というと、まあだいたい「ラブホテル」と呼ばれるものになるわけですよ。
単身で泊まる人も基本的にはいないし(最近はそうでもないかもしれませんが)、特殊な関係でない複数人の同性が泊まるということも基本的にはないホテルです。

ただ、条文を見てもらえればわかるとおり、「専ら男女同伴利用ホテル」が全部、風適法が言うところの「ラブホテル」ではないわけですね。

(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)

と書いてありますから、「そういう」構造、または、「そういう」設備がある個室がなければ、客観的に、一般的に「ラブホテル」と思われる宿泊施設でも、

「風適法上のラブホテル」ではない可能性もある

という意味で、わかりやすいように(わかりやすいか?)ここでは「風適法上のラブホテル」と呼んでいます。

 

では、どんな「構造」やどんな「設備」があると、「風適法上のラブホテル」になるのでしょうか?

風適法施行令には、次のように定められています。

(法第二条第六項第四号の政令で定める施設等)
第三条 法第二条第六項第四号の政令で定める施設は、次に掲げるものとする。
一 レンタルルームその他個室を設け、当該個室を専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設
二 ホテル等その他客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する施設であつて、次のいずれかに該当するもの(前号に該当するものを除く。)
イ 食堂(調理室を含む。以下このイにおいて同じ。)又はロビーの床面積が、次の表の上欄に掲げる収容人員の区分ごとにそれぞれ同表の下欄に定める数値に達しない施設

収容人員の区分 食堂の床面積 ロビーの床面積
三十人以下 30㎡ 30㎡
三十一人以上五十人以下 40㎡ 40㎡
五十一人以上 50㎡ 50㎡

ロ 当該施設の外周に、又は外部から見通すことができる当該施設の内部に、休憩の料金の表示その他の当該施設を休憩のために利用することができる旨の表示がある施設
ハ 当該施設の出入口又はこれに近接する場所に、目隠しその他当該施設に出入りする者を外部から見えにくくするための設備が設けられている施設
ニ フロント、玄関帳場その他これらに類する設備(以下この条において「フロント等」という。)にカーテンその他の見通しを遮ることができる物が取り付けられ、フロント等における客との面接を妨げるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める状態にある施設
ホ 客が従業者と面接しないで機械その他の設備を操作することによつてその利用する個室の鍵の交付を受けることができる施設その他の客が従業者と面接しないでその利用する個室に入ることができる施設
2 (略)
3 法第二条第六項第四号の政令で定める設備は、次の各号に掲げる施設の区分ごとにそれぞれ当該各号に定めるものとする。
一 第一項第一号に掲げる施設 次のいずれかに該当する設備
イ 動力により振動し又は回転するベッド、横臥がしている人の姿態を映すために設けられた鏡(以下このイにおいて「特定用途鏡」という。)で面積が一平方メートル以上のもの又は二以上の特定用途鏡でそれらの面積の合計が一平方メートル以上のもの(天井、壁、仕切り、ついたてその他これらに類するもの又はベッドに取り付けてあるものに限る。)その他専ら異性を同伴する客の性的好奇心に応ずるため設けられた設備
ロ 次条に規定する物品を提供する自動販売機その他の設備
ハ 長椅子その他の設備で専ら異性を同伴する客の休憩の用に供するもの
二 第一項第二号に掲げる施設 同号イからハまでのいずれかに該当する施設にあつては次のイに、同号ニ又はホに該当する施設にあつては次のロに該当する設備
イ 前号イ又はロに掲げる設備
ロ 宿泊の料金の受払いをするための機械その他の設備であつて、客が従業者と面接しないで当該料金を支払うことができるもの

まあ、わかんないんですよね、条文読んでもね。

というわけで、超!わかりやすく、端折って解説します。

「風適法上のラブホテル」には、大きく分けて2つのパターンがあります。

【パターン1】「外見上、ラブホテルのように見えるもの」
①~③のどれかに当てはまるもの。
①食堂(調理室を含む。)又はロビーの床面積が、次の表の面積より狭い。

収容人員 食堂の床面積 ロビーの床面積
三十人以下 30㎡ 30㎡
三十一人以上五十人以下 40㎡ 40㎡
五十一人以上 50㎡ 50㎡

②施設の「外周」や「外部から見える位置」に、「休憩の料金」や「休憩利用ができる旨」の表示がある。
③施設に出入りする姿を見えにくくするための目隠し等が設けられている。

【パターン2】「従業員と対面しなくても利用できるもの」
次の④か⑤に当てはまるもの。
④フロントにカーテン等の目隠しを取り付けられている。
⑤客室案内板等の設備を用いて、客が従業者と面接しなくても個室に入ることができる。

 

パターン1か2に当てはまっても、即「風適法上のラブホテル」となるわけではありません。

パターンごとに、条件を満たす場合のみ「風適法上のラブホテル」となります。

 

【パターン1】の条件「外見だけじゃなくて、中身もラブホテルにしか見えない」
次のいずれかの設備が個室に設けられている。
・振動したり回転したりするベッド
・寝ている人の姿を映す鏡(鏡の面積が合計一平方メートル以上のもの)
・その他性的好奇心に応ずるための設備(ガラス張り浴室、SM設備、ベッドを撮影するカメラ等)
・アダルトグッズの自動販売機

【パターン2】の条件「従業員と対面しなくても料金を精算できるもの」
・個室に、従業員と顔を合わせなくても料金を支払うことができる設備があるもの。
(例:自動精算機、支払用エアシューター、料金支払用小窓など)

 

というわけで、「風適法上のラブホテル」の条件を超!簡単にまとめると、

・外見から判断してラブホテルっぽく、中身から判断してもラブホテルっぽい。

または、

・利用者が利用開始から料金支払いまで、従業員に会わずに利用できる。

ということになります。

 

なお、いわゆる

「レンタルルーム」(部屋の一時貸しで、ラブホテルの休憩みたいに使う形態)

「モーテル」(車で乗り付けた駐車場から直接個室に入れる宿泊施設)

は、今日のお話とは少し違いますので誤解なきようにお願いします。

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  • 行政書士向けの飲食店営業・深夜酒類提供飲食店営業・性風俗関係営業手続き研修の講師をしてきました。