契約書の「ココに気をつける」を超簡単に解説⑦「反社条項」
ご注意:「超簡単」にこだわったので、表現に厳密性を欠いているおそれがあります。
契約書を作ったり、内容をよく読んだりするときの注意点を説明するシリーズの第7回目のテーマはこちら。
「反社条項」すなわち「反社会的勢力の排除に関する条項」
です。
暴力団や反社会的組織と関わり合いを持たないことは、時代の要求です。
その関わり合い方が、反社会的な活動でなくても、また、威力によらず対等な関係であったとしても、です。
しかし、自らを暴力団だと名乗って、あなたと契約したいと近寄ってくる人はいないでしょう。
また、いかにもそれらしい風体で現れる暴力団員もなかなかいないでしょう。
(仮にいたなら、そもそも、皆さんはその人と契約しないでしょう。)
外見や話し方から、一般の人だと思って契約したら、実は暴力団員だった、なんてことがあるかもしれません。
では、契約相手が暴力団員であることが、後からわかった時は、どうしたらいいのでしょうか?
何ができるのでしょうか?
答えは簡単で、契約書に「後からあなたが暴力団だとわかったときは、契約を解約しますね、その場合はあなたの損害賠償請求には応じませんよ。」などと書いておけばいい、ということです。
これを「反社条項」と言います。
反社条項の例を挙げておきますね。
第○条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、相互に、現在及び将来において、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、及びこれらに準ずる者(以下、あわせて「反社会的勢力」という。)の何れにも該当しないこと、並びに反社会的勢力を利用しないことを表明し保証する。
2 甲及び乙は、相手方が前項の表明保証に反したことが判明した場合には、本契約及び個別契約を直ちに解除することができるものとし、解除した当事者は相手方に対して、何等の経済的利益の提供及び損失補償をする義務を負わないものとする。
第○条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、相互に、現在および将来において、次の号の何れにも該当しないことを表明し保証する。
①暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標榜ゴロ、政治活動標榜ゴロ、特殊知能暴力集団およびこれらに準ずる者。(以下、あわせて「反社会的勢力」という。)
②反社会的勢力でなくなってから5年経過していない者。
③法人である場合は、その役員および実質的に経営権を有する者の何れかが、反社会的勢力であること、または反社会的勢力とかかわり、つながりがあること。
④反社会的勢力に資金提供を行っていること、または法人である場合は、その役員および実質的に経営権を有する者の何れかが、反社会的勢力に資金提供を行っていること。
2 甲及び乙は、相互に、相手方または第三者に対して次の号の行為を行わないことを表明し保証する。
①暴力的な要求行為
②法的な責任を超えた不当な要求行為
③風説を流布し、偽計を用いまたは威力を用いて業務を妨害する行為
④反社会的勢力を利用する行為
3 甲及び乙は、相手方が前2項の定めに反していると具体的に疑われる場合には、相手方に対し当該事項に関する報告を求めることができるものとし、報告を求められた当事者は、相当の期間内に報告書を提出しなければならない。なお、報告のために要した費用は報告を求められた当事者の負担とする。
4 甲及び乙は、相手方が第1項各号の何れかに該当し、または第2項各号の何れかの行為を行い、もしくは第1項または第2項の表明保証に関して虚偽の申告をしたことが判明した場合には、甲乙間における一切の契約、覚書等を、何等の催告を要せず直ちに解除することができるものとし、解除した当事者は相手方に対して、名目の如何を問わず何等の経済的利益の提供および損失補償する義務を負わない。
この「反社条項」、あるいは「暴排条項」は、各都道府県警察や暴追センターのホームページにも案内がありますので、そちらも参考にして下さい。