変形労働制に関する重要な判決が出ました。

変形労働時間制とは、労働時間を月単位・年単位で調整することで、繁忙期等により勤務時間が増加しても時間外労働としないことができる労働時間制度です。
例えば、
「夏と冬がすごく忙しくて、春と秋はヒマ」
みたいな会社の場合は、1年単位で労働時間を調整して、春と秋の労働時間を短くすることで、夏と冬の労働時間が長くなっても、(一定のルールに従って)残業手当を払わなくてよくなる、とか、
「毎月月末と月初がめちゃくちゃ忙しいけど、それ以外はヒマ」
みたいな会社の場合は、1か月単位で労働時間を調整して、月中の労働時間を短く、月末月初の労働時間を長くすることができます。
で、
これについて、割と重要な判決が出ました。
今年10月26日、名古屋地裁は、日本マクドナルドと元社員との訴訟において、同社の店舗社員に適用されている変形労働時間制を無効と判断しました。
同社は、店舗社員に1か月単位の変形労働制を布いていたようです。
変形労働制の制度下では、勤務シフトパターンを就業規則で定めなければなりませんが、同社では、就業規則に定めのないシフトパターンを、店舗が独自に設けて運用していたようで、この点について、労働基準法の定める変形労働制の要件を満たしていないので、同社の変形労働制は適法性に欠けると判示したようです。
店舗型の事業をされている多くの事業者が、変形労働制、中でも「1か月単位の変形労働制」を活用していると考えられますが、複数の店舗があれば当然店舗ごとに運営上の事情は異なるでしょうから、シフトパターンも店舗ごとに都合の良いように運用されているかもしれません。
それ自体は悪いことではないのですが、それを適法に行うには、就業規則の変更、整備が必要になる、ということになります。
一度、見直してみられてはいかがでしょうか?