押印省略のお話
菅内閣成立後すぐに、テレワーク等の推進とデジタル時代に向けた規制・制度の見直しということで、
「書面主義、押印原則、対面主義に関する官民のこれまでの規制・制度や慣行を見直そう」
ということになりましたね。
で、手始めに「行政手続きの押印原則を見直そう」ということで、昨年12月頃からいろいろな手続きについて自署・押印を求めない方向に動き出しています。
正直、行政書士というお仕事、お客様のために行政手続きの書類を作ったり、手続きを代行したりする者としては、
「お客様の捺印をもらいに行く」という工程が減ったということは、
作業効率が良くなって、非常にありがたいお話でございます。
実際、今年に入ってから作った書類は、押印が必要なものが昨年に比べて大幅に(イメージとしては9割ほど)減りました。
ただ、正直なところ、「押印省略」の対象に、
申請者以外の第三者(例えば、
・申請者に事務所や店舗を貸している家主さん
・許認可の制度上重要な役割を担う従業員さん
・実務経験があることを証明してくれる前職の社長さんなど)
の意思表示
も含まれているので、これらが押印なしで良いとなると、
いろいろな悪いことが起こるのではないか
と思っています。
行政書士としては、この辺りに十分気をつけてお仕事していかないといけないなぁ、と思うのです。というのは、
こういった第三者の方々にとって「印鑑を押した」とか「サインをした」ということは、記憶として残りやすいし、書面上に意思表示の証拠が残るわけで。
口頭での意思確認に基づいた書面作成をしたのに、「行政書士が勝手に書類を作って出した」なんてことにもなりうるなぁ、と。