パチンコ屋さん時代の思い出 その20
元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、気が向いたときにパチンコ店の裏話的なことを書くコーナーです。
店舗型の商売であれば、本屋さんであろうが、コンビニであろうが、スーパーマーケットであろうが同じだと思うのですが、
「外見や言動、所作に特徴のあるお客さん」に「店員の中だけで通じる渾名」を付ける
ということがあると思います。
お客さんが自分の名前を告げる必要のない商売だからこそ、こういうことが起こるのだと思いますが。
パチンコ店でも同様でございまして。
私が長い間勤務していた、某下町のお店で、
「オレンジジャージ」
と呼ばれていた、高齢の男性の方がいらっしゃいました。
そうです、いつもオレンジ色のジャージを着ていた、それだけなんですが。
それだけではあるのですが、この方は、その行動が非常に特徴的でありました。
この話をするために、ちょっと脱線が必要なのですが。。。
パチンコ台は、ハンドルを操作すると玉が連続で発射されるのですが、玉が発射されるスピードは、
1分間に100個
と決まっています。
これは、法令で、
1分間に400円分(税抜)を超える玉を発射できるようにしてはならない
と決まっているからなんですね。
で、玉の貸出料金の制限が「玉1個当たり4円(税抜)まで」と決まっているので、1分間に100個までしか発射できないように設計されています。
さて、パチンコ台には、その日1日に玉が何発発射されたのか数える機能が付いていまして、お店の人はこの数字を「稼働率を把握するための数字」として利用してきました。
「今日のA店のパチンコの稼働は、平均32500(発)でした。」
という感じです。
仮に、そのお店の営業が朝10時から夜10時30分までだったとすると、12時間30分の営業時間があるわけですから、
最大で75000発の玉が発射できるわけですが、
(1分100発、1時間6000発なので)
いくら営業時間が12時間半あるからと言って、12時間半パチンコ台のハンドルを握り続ける人はいないわけで。
食事もするし、トイレもいく、ジュースを買いに行ったり、休憩したりもする。
そもそも、10時の開店時間にお店に来て、閉店までずっとパチンコしている人なんて、ちょっとおかしい()ですしね。
よほど「大当りが止まらん!」なんてラッキーな状態でなければ、「朝から晩までフル稼働」なんてことはなくて、「キリの良いところで」「出た玉を使ってしまう前に」帰ろう、というのが普通ですから、せいぜい47000~48000発くらいが天です。
また、多くの場合、この47000~48000発は、一人で発射したものではありません。
何人かのお客さんの手によって発射されたものです。
このオレンジジャージさん、ほぼ毎日60000発以上打ってました。
開店時間には必ず来られ、「これ」と決めた台を閉店ギリギリまで打ち続ける。
しかも食事もとらない。
トイレに行くくらい。
10時間ハンドル握りっぱなし・・・。
いや、実際はハンドルから手を放す瞬間があるわけですから、台の前に座っている時間はおそらく11時間近くになるでしょう。
しかも、ほぼ毎日です。
尋常ではなかったですね。
気の良いおやじではあったんですがね。
私この人と何回もハグしましたし、下腹部も揉まれました(制服の上からですよ)。