簡易宿所・旅館業の許可手続きについて 大阪市編 その3「近くに学校等がある場合」の1
ここでは、大阪市内で「簡易宿所」や「旅館」の許可を得る手続きについて説明していきます。
今日は、旅館業許可手続きにおいて、大阪市ならではの注意点についてご説明したいと思います。
このシリーズ第1回目のブログ(第1回はコチラ→■)で、次のように書きました。
事業予定地から110m以内に、次の施設があるか調べます。
・18才未満の者が通う各種学校
・児童福祉施設(保育所、児童関係施設、助産施設、母子施設など)
・図書館
・博物館
・公民館
・都市公園
・次の施設
大阪市立男女共同参画センター子育て活動支援館、大阪市立愛光会館、大阪市立青少年センター、大阪市立こども文化センター、国立文楽劇場、大阪市立東淀川体育館、大阪府立体育会館、大阪府立芦原高等職業技術専門校、大阪府立夕陽丘高等職業技術専門校
「110m以内にこれらの施設があると許可が取れない」ということではありませんが、特別な基準を満たす必要があります。
※もちろん、許可が取れない可能性もあります。
この「特別な基準」というのが、場合によってはとても大きなハードルになる場合があるので、注意が必要です。
これまでのご相談(大阪市内)で「近くにこういった施設が全くない」という物件は一度もありませんでした。
「よく調べたら110m以上あったので、ホッとした」ということはあります。
特に、「都市公園」はかなりたくさんあります。
中には「え?これ、公園なの?」という見た目の公園もあります。
個人的には「山王みどり(緑道)公園」と「東横堀川(緑道)公園」が驚きランキング上位です。
では、110m以内にこれらの施設がある場合に満たさなければならない「特別な基準」について説明します。
通常の基準を満たした上で、次の基準を満たさなければなりません。
1.客室の構造設備について
ア 浴室等及び脱衣室の内部を外部から容易に見通すことができない構造であること
イ 客室内において料金の支払等ができる自動精算機、小窓その他の構造設備が設けられていないこと
2.玄関及び駐車場の出入口に外部からの見通しを遮るものを有しないこと
3.玄関帳場を有する施設にあっては、駐車場から玄関帳場を経由せず、直接個々の客室へ出入りすることのできる構造でないこと
4.客室の扉を自動的に施錠し又は開錠することができる装置と連動した客室案内板その他の設備であって玄関帳場での面接を妨げるものを有しないこと
5.施設内に性的好奇心をそそるおそれのある鏡、寝台、照明、がん具その他これらに類するものを有しないこと
6.施設の外観及び外部の広告物の構造設備について
ア 著しく奇異な意匠でないこと
イ 周囲の環境と調和が保たれているものであること
ウ 人の性的好奇心をそそるおそれのある広告物が備え付けられていないこと
エ 市規則で定める基準に適合する色及び模様並びに照明設備であること
→「普通建物に使わないだろう」という色が5%以下であることや、サーチライトや点滅照明がダメとのこと。
7.【最重要】寝台を設置する客室を有 する場合は、次のいずれかの基準に適合すること
A 定員1名の客室の数が寝台を設置する客室の総数の3分の1以上であり、かつ、2人用の寝台が設置された客室の数が寝台を設置する客室の総数の3分の1以下であること
B 客室数が 100 室以上であること
C 幅 0.9 メートル以上の独立した寝台が4つ以上ある客室が寝台を設置する客室の総数の2分の1以上であること
早い話が「こういった施設の近くではラブホテルを作らせないぞ」ということなのです。
1~6については、民泊施設であれば何の問題もなくクリアできそうなものばかりですが、7だけは別です。
A「ベッドを置く部屋の内、定員1名の部屋を1/3以上作り、かつ、ダブルベッドを置く部屋を1/3以下にしろ」
または
B「100室以上作れ」
または
C「ベッドを置く部屋の内、半分以上をベッドが4つ以上ある部屋にしろ」
よくある民泊の形で言うと、
Aの「定員1名の部屋を1/3以上作る」のは無理だし、
Bの「100室」もどう考えても無理なので、
Cしか選択肢がないけれど、マンションの一室型民泊は、4つベッドを置けなければアウト、ということになります。
まあ、ベッドを置かなければいいという話ですが。
※6のエも注意が必要です。古いアパートに、妙に明るい色でリニューアル感を出してしまった、なんてこと、割とよくあります。