パチンコ屋さんの景品買取所うんちく その8「等価交換について」
元パチンコ店員、元パチンコ店店長、元パチンコ店運営会社の部長という経歴の行政書士である私が、気が向いたときにパチンコ店の裏話的なことを書くコーナーです。
今回の画像テーマは、もちろん「等価交換」です。生々しいですね。
パチンコ業界では「等価交換」という言葉が使われることがあります。
しかし、この「等価交換」という言葉は、まったく異なる2つの意味があり、業界歴の浅い人の頭を悩ませる用語です。
等価交換の1つ目の意味は、
「玉1個(あるいはメダル1枚)を借りるときに支払う金額」と「玉1個(あるいはメダル1枚)を換金するときの価値」が等しい
ことを言います。
例えば、パチンコを遊ぶときに500円で125個の玉を借りたとしましょう。
この時、パチンコ店は玉を1個4円で貸しているということですよね?
借りた125個の玉を、パチンコで遊ぶことなく特殊景品に交換し、景品買取所に持って行ったら500円になったとしましょう。
この場合、このお店では玉1個を4円で換金しているように感じますよね?
玉1個を4円で貸し、4円で換金するので、「等価交換」というわけです。
この場合の「等価交換」というのは、どのお店でも共通のルールではありません。
お店や地域によって、換金時のルールは様々です。
お店によっては、4円で貸して3.57円で換金する、とか、3.3円で交換する、とか、3円でとか、早い話が「お店ごとに換金レートを設定している」ということになります。
また、大阪をはじめとしたいくつかの県では、公安委員会が(ここで言うところの)等価交換を禁止しています。
「4円で貸して3.3円で交換する」ということは、お客さんは玉を借りた瞬間から負けが始まっているので、0.7円分を取り返すために玉を増やさないといけません。
また、同じ数の玉をゲットしても、等価交換のお店と3.3円交換のお店では、換金後の金額に差が出ます。
お客さんから見れば、等価交換(=4円交換)のほうが魅力的に見えるのですが・・・・・この話は長くなるので、また追い追い。
さて。等価交換の2つ目の意味は、法令に基づいた意味合いになります。
風俗営業法(風適法)では、パチンコ店の賞品(=景品)の提供について、次のように定めています。
「ぱちんこ屋等においては、当該遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品を賞品として提供すること。」
この条文の意味を、簡単に説明しますと、例えば、
・玉1個4円で貸しているお店では、
・獲得した玉30個に対しては、市場価格120円の賞品(例えば、缶ジュース)と交換しなければならないし、
・獲得した玉2500個に対しては、市場価格10000円の賞品(例えば、家電製品とか財布とか)と交換しなければならない。
ということになります。
この2つ目の意味の「等価交換」は、法令ですので、地域やお店によってルールが違うということはありません。共通のルールです。
玉を貸す単価がお店や、お店の中のコーナーによって違いますから、玉1個4円で貸しているお店やコーナーで2500個ゲットしたときと、玉1個1円で貸しているお店やコーナーで2500個ゲットしたときでは、もらえる賞品の価値は変わりますが、
「玉1個の貸し玉金額×ゲットした玉の数」
という公式は、変わりません。
お店によって多少差があるとすれば、「賞品の市場価格」についてです。
最近は、同じ商品が同じ価格で売られているということはほとんどないと思いますので、その商品の市場価格、常識的に妥当だと考えられる価格は幅がありますよね。
だから、そこはお店が常識の範囲内で自由に決めて下さい、ということになっています。
ただし、常識の範囲を超えて安く、又は高く設定するのはご法度、特に「安く設定するのは極めて違法性が高い」ということになります。
なぜなら、
市場価格が1000円のものを、500円分の玉と交換すると、事実上玉の交換価値が高騰し、詰まるところギャンブル性が跳ね上がる
からです。
今回、このようなお話をしたのは、次回のテーマの前振りで、予備知識を身につけて頂きたかったからです。
次回、「なぜ大阪では等価交換が禁止されているのか」。